連載#15 「泥団子職人だった頃のはなし」

2024年9月24日

倉田紗希

 夕方になると、少しひやっとした風が感じられるようになってきましたね。

気づけばもう9月も終盤。先日もスーパーで買い物をしていたらお月見団子が売っていて、もうこんな時期かとしみじみとした気持ちになりました。これから秋も深まり外に出やすい時期になることを考えたら嬉しくなってきます。

私個人の話だと、今年の夏は体調を崩すことが多く、健康の大切さを身に沁みて実感しました。

高校時代は女子サッカー部に所属して沢山体を動かしていましたし、大学時代には片道10キロほどの道のりを毎日自転車通学していたので体力には自信がありましたが、こんなに体力が落ちたなんてとても悲しい・・。

制作で体を動かしているつもりでしたが、もう少し運動しようと決意しました。

気持ちが冷めないうちに、何か始める予定です。オススメの運動があれば、是非教えてください!!

制作の方は9月に100号(自分の身長ぐらいあるサイズ)の絵画作品をコンペに出し、11月にも絵画のコンペがあるので大きい絵を描いて出品できるよう頑張っています。いい結果につながったらいいな、と思います。

あの日の手触り。NHK「光れ!泥団子」

 さて今日は、この間見たテレビ番組が個人的にとても印象深かったので、皆さんにもシェアしたいと思います。

突然ですが、みなさんは泥団子を作った事がありますか?

今日ご紹介するのは、NHKドキュメント「光れ!泥団子」という番組です。

番組の放映自体は2001年と20年ほど前になりますが、

「時をかけるテレビ〜今こそ見たい!この1本」として池上彰さんホストのもと、池上さんから見た視点も交えて再放送されました。

引用元:https://www.nhk.jp/p/tokikaketv/ts/WQGK99QWJZ/episode/te/377YY59WMQ/

番組の主人公である、加用文男先生(かようせんせい)という教育大学の教授(以下、番組にならって加用さんと記載します。)が泥団子作りという遊びを通して、子どもたちの心理について研究する日々の出来事を追ったものでした。

加用先生は、大学で専門書の中で学ぶ教育と実態がかけ離れている事に気づき、実際の保育に役立つことを研究したい思いから保育園に毎週通うようになったそうです。そこで子どもたちと一緒に遊びながら「子どもが遊びの中で感じる、心がワクワクする感覚は何なのか」という事を研究をされていたそうです。

加用先生は「泥団子せんせい」とみんなから呼ばれていて、本当に泥団子の達人なんです。

こんなツルッツルの泥団子が作れたそうです。土というより、鉄のような見た目。すごくないですか!?

加用先生の作った泥団子。

引用元:https://www.nhk.jp/p/tokikaketv/ts/WQGK99QWJZ/episode/te/377YY59WMQ/

映像の中で子どもたちが泥団子を作るシーンが登場して、自分もせっせと団子作りに励んでいた幼稚園の頃の自分をとてもリアルに思い出しました。

私も幼稚園の時期に泥団子にハマっていました。

泥団子作りは、まずはグラウンドにある土を集め、そこに水を混ぜてドロドロにした状態からスタートします。自分で形を整えて段々細かい砂をかけてたりしてツルツルの団子に育てていきます。どの砂がいいか、色んな場所で試してかけたりしていました。

初めはあんなにボコボコしていた表面が、何度も砂をかけ手で優しく擦っていくうちにツルツルになっていく瞬間がたまらないんですよね。自分で作っている、という事もとても嬉しいんです。

加用さんの研究テーマについて、私もこの番組を見て本当になんだろうと疑問が深まりました。

なぜあんなに自分は泥団子づくりに熱狂していたのか。

答えはわかりませんが、完成すると嬉しいというより終わった感じがして寂しい気持ちになり、自分で作るという工程がとにかく楽しかったと記憶しています。

出来上がったお団子をどうすればいいかわからなくて、私は思いっきり高く投げたりして壊す、ということをやっていました。(実際はちゃんと保存すれば何十年もキレイに保管できるそうです。もっと早くに知りたかった・・)

完成した時より、作っている間が一番楽しかったのは不思議ですが今やっている作品制作も同じかもしれません。

 「泥団子をやったから何ができるようになった、とか役立ったとかそういう事ではなくて、本人たちがその時間充実していたという事が大切なんじゃないか」という加用さんの言葉が一番印象に残っています。

私も泥団子作りに精を出していた時期、次の日の工程が毎日楽しみで、幼稚園の下駄箱にそっと隠してはワクワク日々を過ごしていました。

その記憶や手触りなどの感覚は今もあって、意味はないんだけど自分の大事な人生の時間だったなと思います。

Nendouのワークショップに参加してくれる子どもたちにとっても、自分で作ったことや伸びる粘土を見た時の感動が、いつかそんな時間になれたらいいなと思っています。

今は視聴できるかわかりませんが、とても考えさせられる番組だったのでぜひチェックしてみてください。

10月のテーマは「ハロウィンタウン」です!秋も楽しんで行きましょう!ぜひ、皆様のご予約お待ちしております。