ねんどうな人たち。インタビュー

大好きなミニチュアフードを粘土でつくれる幸せ

小池 晃子

2020年8月かInstagram「aniko_miniature」のアカウント名でミニチュアフード作品を投稿、1.1万人のフォロワーを集める。ハンドメイド通販サイト「minne」でも作品を販売中。

横浜市都筑区でご主人と2人のお子さんとともに暮らしている、専業主婦の小池晃子さん(54歳)。粘土でミニチュアフードをつくることが趣味で、2020年8月からInstagramで作品の投稿を始めると、1年間でフォロワーが1万人を数えるまでに。その作品をハンドメイド通販サイトに出すと、複数のファンが買ってくれるそうです。「大好きなミニチュアフードを自分でつくることができ、人にも喜ばれて幸せです」と話します。そんな小池さんに、これまでの経緯や粘土細工の魅力を語っていただきました。

今でも大好きな「おままごと」

――これまでのご経歴からお教えください。

小池 1988年に短期大学を卒業して、損害保険会社に入社しました。国内での保険の営業などに12年間携わって、勤続疲労を感じて退職します。その後、派遣社員として化粧品会社で貿易事務の仕事に就きました。そこの社員の方を通じて主人と知り合い2004年に結婚し、寿退職をして以来ずっと専業主婦です。2006年に長男、2009年に長女をアラフォー出産しました。

――ミニチュアフードづくりという趣味は、いつ頃から始めたのでしょうか?

小池 自分でつくるようになったのは5年前からですが、そもそもは小さい頃からおままごとが大好きでした。近所でお祭りや縁日が立つたびに父親にプラスチック製のおもちゃの食べ物を買ってもらい、部屋に並べて喜んでいたのです。高学年になるまでそんな遊びをしていましたが、実は今でも好きなんです(笑)。

――お勤めの頃も、仕事を癒す趣味などとして続けておられたのですか?

小池 仕事をしていた頃は毎日が忙しく、たまにリーメントという会社がつくるプチサンプルがオマケについたお菓子を買って、並べて眺めるぐらいでした。損害保険会社退職後は、ちょっとリフレッシュしようと長期の海外旅行に行ったり、カメラを習いに行ったりしました。ミニチュアフードづくりを本格的に始めたのは、5年前に娘が小学校に入学し、育児から手が離れるようになってからです。

カルチャースクールが制作の契機に

――何かきっかけがあったのでしょうか?

小池 私がミニチュアフードを好きなことを知っているママ友が、近所のカルチャースクールでミニチュアフードづくりの教室があると教えてくれたのです。その教室は、日本ミニチュアフード協会という団体が主宰するもので、さっそく月1回の講座に1年間通いました。

――そこでかなり上達されたのですね。

小池 ミニチュアフード作りの基本はそこで学ばせて頂きました。修了後の認定試験に合格すると協会オリジナルサイトで作品販売をしたり、百貨店でのイベントに参加できるチャンスがある「認定コース」を履修しました。作品が売れることに惹かれたんですね。しかし、習い始めてからミニチュアフード教室の人気が出始めて、受講者がかなり増えたのです。そうなると、自信が無かった私は、試験に合格しても百貨店イベントになんか選ばれないだろうと諦め、結局試験は受けませんでした。趣味で続ければいいや、って。

――次にまた転機があったのですね。

小池 近所のママ友とランチをしている時に、私がつくったミニチュアフードを見せていたんです。それをお店の女性オーナーが一目見て「あら、かわいい! お店に置かせて」と。そのお店は委託販売をしていたんです。さっそく1個数百円で置かせてもらいましたが、あんまり売れませんでしたね。そんなものなのかな、と思っていましたが、当時はほかのことに時間を取られ、数ヶ月粘土に触らない期間もあったぐらいです。

友人の「インスタでもやれば?」で投稿開始

――それが、どのように変わったのですか?

小池 ママ友が次々と引っ越しし、2020年春にコロナの影響で家にいる時間が長くなったので再開した形です。つくってはお友だちに写メを送ったのですが、「へー、かわいい。ところでさ」と反応が薄いんですね(笑)。確かに、さほど好きでもない人に毎回送るのも迷惑かな、と思っていた時、お友だちから「インスタでもやれば?」と言われたんです。なるほど、インスタにアップすれば好きな人に見てもらえるのか、と思って、8月からアップし始めました。そうしたら「いいね!」の反応があって、嬉しくなったのです。最初の頃は数人が反応してくれましたが、今では数千人の方が「いいね!」をつけてくださっています。

――どれぐらいのペースでアップされているんですか?

小池 ちょうど1年経ったところですが、215投稿していますので、3日に2回のペースですね。今は2日に1回のペースです。家事の合間にやっているのですが、1日は製作、もう1日は「minne」への出品や売れた作品の発送などを行っている感じです。

――作品はどんな売れ行きですか?

小池 熱心なファンの方が3人ほどいらしていて、毎回リピートして買って頂けるんです。私は自分がつくることが最大の目的なので1個しかつくってこなかったのですが、買えなかった方からよく同じものを再販してほしいと要請されるんです。そこで、最近は同時に2~3個つくるようにしています。常に新しいものをつくりたいので、以前つくったものをまたつくってほしいというご要望は、申し訳ありませんがお断りしています。

ユーモアを効かせる“自分らしさ”にこだわる

――フォロワーが1年間で1万人とは凄いですね。一主婦の趣味として始めたことが、世界中の人たちから見られる立場になりました。どういったお気持ちでしょうか?

小池 1万人と知って、子供たちはびっくりしています(笑)。1万人もの方に見て頂くのは、心地いい緊張感がありますね。適当につくってアップするというわけにはいかなくなったと。ミニチュアフードはリアルさが命で、形と色と質感にこだわっていますが、納得できるまでつくり直すこともよくあります。また、写真撮影も工夫するように心がけています。「おいしそう!でもミニチュアなの!?」というサプライズが楽しいので、指を写り込ませたり。それと、単にリアルなだけでは工業製品と同じなので、できるだけ私らしい仕上げにもこだわっています。自分としては、ユーモアを効かせることかな、と思っています。

――作品を拝見した中に、ラップされたおかずとともに「チンして食べてね」と書かれたメモが乗っているのがありましたが、まさにニヤッとさせられますね。

小池 ありがとうございます。インスタにもそのようにコメントしてくださる方が少なくありませんが、いつも励みになっています。

――同様に、ミニチュアフードをつくって投稿している人とのコミュニケーションもあったりするのですか?

小池 ほかの作家の方とは、時につくり方の情報交換をすることもあります。いつも学ばせてもらっている方は少なくないですし、私を参考にしてくださっている方もいらっしゃいますね。

自分の作品が喜ばれる張り合い

――小池さんにとって、ミニチュアフードづくりにはどういった意義があると考えていますか?

小池 難しいご質問ですが、もしミニチュアフードづくりをしていなかったら、専業主婦として毎日家事をやり、買い物に行き、家でボーっとテレビを見て過ごす毎日だと思います。そうではなく、ミニチュアフードづくりを始めてからは常に次は何をつくろうかと考えていたり、外食したら「次はこれをつくろう」と思ったり(笑)。そんな時間も楽しいんですね。そして、1作品つくるのに3時間ぐらいかかりますが、その時間は没頭できます。何か用事ができると「つくる時間が削られる~」って思うこともよくあります。専業主婦として、こうして好きなことをやれているのは幸せなことだと思いますね。そして、そんな自分の作品を見て喜ばれ、買ってまで頂けるのは本当に張り合いのあることです。私は49歳でミニチュアフードづくりを始めましたが、この歳でも遅くないということは同年代の皆さんにお伝えしたいことです。

――最後に、小池さんにとって粘土の魅力とは?

小池 自分が思ったとおりの形や色で自在に表現できることです。

――ありがとうございました!

小池 晃子 Akiko Koike

横浜市都筑区在住。主婦。1988年短大卒業後、損害保険会社での国内営業、化粧品会社での貿易事務を経て結婚。2006年に長男、2009年に長女を出産。長女が小学校入学し、育児から手が離れた頃に知人の薦めで日本ミニチュアフード協会のプログラムを受講。2016年頃から家事の傍らミニチュアフードの製作をスタート。2020年8月からInstagram「aniko_miniature」のアカウント名でミニチュアフード作品を投稿、1.1万人のフォロワーを集める。ハンドメイド通販サイト「minne」でも作品を販売中。

aniko_miniature
https://www.instagram.com/aniko_miniature/

ねんどうな人たち。

なぜ人は粘土に向かうのだろうか。子どもにかぎらず、成人までもが粘土に向かうようだ。
そこには「玩具としての粘土」だけではない何かがあるに違いない。
人は何を機に粘土を手にとり、何を求めて粘土と向き合うのか。
粘土に向かう人たちを”ねんどうな人たち” と勝手に名付け紹介していきたい。