子どもたちが歓声を上げながら力いっぱい粘土に取り組んだあと、今度は、わたしたちが子どもたちの「作品」の撮影にとりかかります。
まず、「作品」を1つずつ板にのせてテラスへ運び出します。【写真1】はテラスに並べられた状態です。
粘土作品の撮影にはいくつか条件がありますが、かならず戸外の日陰でなくてはなりません。【写真2】はある日の撮影風景ですが、こんな感じです。園庭の日陰をさがして臨時の撮影場所をつくります。箱やテーブルを重ねてちょうどいい高さにして白いビニール布でおおい、白紙を乗せます。その前で、カメラマンがカメラを持って構えます。
わたしは、白紙の上に、作品を1つ置きます。するとカメラマンは作品全体をパチリ、アップにしてパチリ、立体だから向きを変えたり、回転させたりしながらパチリパチリ。【写真3】のように臨機応変に台に乗ることも。
カメラマンが「OK!」と言うと撮影終了のサインです。作品をテラスへ戻し、次の新しい作品を白紙の上へ置きます。またカメラマンがパチリパチリ。これを1つずつ繰り返して、すべての作品を撮っていきます。
いつも人懐っこい子どもたちですが、撮影場所へ近よってくることはありません。なぜなら子どもたちも次のスケジュールで大忙しで、粘土遊びが終わると給食タイム、食べ終わるとパジャマに着替えて、紙芝居やお話、絵本を読んでもらってから、お昼寝タイムに入ります。大賑わいの園が、急に静かにシーンとします。そおっと覗くと、園のホールいっぱいに寝ている子どもたちの姿は宝物そのものです。その間にも撮影は進み、シャッター音があたりに響いています。
大切な、先生たちとの話し合い
お昼寝タイムを利用して、時々、先生たちと話し合いの時間をもちます。【写真4】がそうですが、皆が足並みを揃えるチャンスでとても大切です。かならず全員が発言することにしています。報告したり自由に感想を述べたり、考えが整理され、確認し合い、これで良いのだと安心でき、「粘土・土」の夢が膨らみ、新たなファイトが湧いてきます。話し合いは、子どもたちが目覚めてザワザワしだしたら終了で、そう長い時間ではありませんが、この話し合いからいくつものイベントが生まれました。
たとえば、
(1)「園庭にある山を壊そう」
(2)「土を掘って、あっちの木をこっちへ動かそう」
(3)「家族みんなで粘土遊びをする」が実現したのは、「おじいちゃんとお団子をつくりたい」という園児の声を先生が伝えてくれたからです。
(4)「“ママ”をつくってママに見せたいの」という会話から、卒園展覧会で「ママの顔」を多くの家族に見てもらうことができました。
以上の(1)から(4)について、これからのコラムに書きますね。
【写真2】で右側に立っている青年はこの日見に来た学生です。「おもしろそー」と美術大学の学生たちがときどき見学に来ます。
今回のテーマ「子どもの粘土作品の撮影」はわたしの一番のこだわりです。その理由は次回に。